拍と拍子
今回は拍子とビートについて見ていきましょう。まずは「拍」です。
「拍とは、一定の間隔をもったリズムの最小単位である!」大抵の本には勢いよくこう書かれていますが、何を言っているのかさっぱり分かりません。下の図を見て下さい。
この図は、1.2.3.4と一定の間隔を持ったリズムが出来ています。
これら「1.2.3.4」一つ一つを拍と呼び、1つにグループ化されたものを拍子と呼ぼうと言っている訳です。
手拍子かメトロノームで考えると分かりやすいでしょう。DAWソフトで遊びつくした方は、演奏を録音する際メトロノームの音が常に鳴っていたかと思います。
まとめ
1発目のチーンから、次のチーンまで拍が4つあり、それがループしています。それは曲が終わるまでずっと続いています。
つまりこれは、曲の中には「(聞こえていなくても)常に感じる事のできる一定の間隔をもったリズム」があるという事です。それをメトロノームが鳴らしてくれているんです。
ただそのメトロノーム音は、市販の楽曲の中では聞こえません。渾身のバラード曲に「チーン、カチ、カチ、カチ」とリズムが入ってたら台無しですよね?でも聞こえなくても感じる事は出来るんです。この1つ1つを拍と呼ぼうという事です。
4/4拍子
そして、図のように1小節が4つの拍で出来ているものを4拍子といいます。
楽譜の最初に書かれている4/4拍子(4分の4拍子)という拍子は、分母が基本となる音符(今回ですと4分音符)、分子がそれを何個分で1小節とするかを決めています。ですので図は4分音符が基本となり、それが4つ分で形成されて1小節となっているので4/4拍子になります。
拍子は他にもあって、この拍を3つで分けた3/4拍子(4分の3拍子)はワルツのような舞曲によく登場します。他にもクラシックでよく登場する拍子や、八分音符を元とする6/8拍子(8分の6拍子)なんてのもありますが、一般的なロックやポップスでは圧倒的に4/4拍子が多いです。
ですからまずは4/4拍子で間隔を掴み、理解出来たら他の拍子に触れてみるとよいでしょう。
注意
拍や拍子についての大枠は理解できたでしょうか。先程の内容と重複しますが、おさらいがてら注意を見ておきましょう。
拍子は手拍子やメトロノームで考えます。上の図も、「4分音符」を最小単位とし「4回」カウントすると1小節になるから「4拍子」になるのであって楽器は関係ありません。
上の図の楽器部分は、8分音符8回で1小節となっています。だからといって8/8拍子になる訳ではありません。あくまで手拍子のタイミングです。楽器のタイミングではありません。
この「楽器」を「ドラム」に置き換えると8ビートというものになりますが、拍子はあくまで4拍子なんです。
「(聞こえていなくても)常に感じる事のできる一定の間隔をもったリズム」。これを頭に入れておいて下さい。
分かりにくい時は手拍子してみるか、DAWのメトロノームで1小節を何回刻んでいるか考えると理解出来ると思います。
強拍と弱拍
2つ以上の拍がある時、拍にはそれぞれ呼び名があり強拍と弱拍に分けられます。一番最初にくる拍を強拍、それ以外の部分を弱拍といいます。
拍子は強拍1つと、残りの弱拍で成り立っていて、次の強拍がくると違うグループになると考える事が出来るんです。
つまり2拍子の場合は、強弱強弱で成り立つ事になります。
3拍子の場合だと、強弱弱。
4拍子は本来2拍毎に強拍がくるので強弱強弱でセットですが、そうした場合強拍がきたら違うグループというルールが成立しません。ですので3拍目は中強という考え方をします。
注意
ここでも注意したいのが、強拍だからといって、アクセントが強い=強調して演奏するという意味ではありません。
「重心は1拍目の強拍ですよー」というのを示すくらいのもので、ポップスやロックなどの場合アクセントとは切り離した方がよいです。
名前の呼び方くらいのものと考えておきましょう。
表拍と裏拍
先程の図のように、4拍子ではあるけども、実際楽器で演奏するのは8分音符という事は多々あります。
このような時、楽器側は拍を分けて考えます。上の図だと1拍を2つに分け、それぞれを表と裏と呼びます。演奏する時に、1拍目の表、1拍目の裏、2拍目の表、2拍目の裏‥と考えているんですね。
先程の強拍弱拍よりも、表と裏の方がポピュラー音楽では大事です。ここはよく理解しましょう。表は拍と重なる部分、裏は拍と拍の間の事をいいます。裏は何処ともタイミング合わない隠れた拍といえますね。
ちなみにこれが16分音符になった場合、1拍を「表の表、表の裏、裏の表、裏の裏」と4つに分けて考えます。
ビートとは?
8ビート・16ビート。音楽を聴く方には馴染みのある言葉だと思います。実際これらはどういったものなんでしょうか。
簡単に言ってしまえばビートはリズムを刻む最小単位です。
例えば一日目で打ち込んだドラムのハイハットは8分音符が8回でした。
8分音符は4分音符の1/2の長さなので、(4/4拍子の場合)8回鳴らせば丁度1小節となります。(上図)
つまりこれは8分音符を最小単位としているので8ビートになるんです。
8ビートのドラム
一方16ビートの場合は、16分音符を感じる事が出来るリズムです。
16ビートのドラム
8ビートは主にロックやポップス等、多くの曲で使われています。
16ビートはフュージョンやファンクなどが比較的多いでしょう。
ただ近年はロックにも16ビートは頻繁に登場しますし、ジャンルによる違いはないと考えてよいでしょう。実際には8ビートと16ビートの中間のようなものや、ほとんど8ビートに聴こえる16ビートなんてものもあります。
8ビートだから全ての楽器が8分音符でずっと演奏している訳ではなく、色んな音符が交じり合って出来ています。この辺は初心者の内に細かく意味を考えだすと迷路から抜け出せなくなります。
ですので現段階では、リズムをどの音符で刻んでリズムを作っているか。感じる事の出来るリズムが8分音符なら8ビート、16分音符なら16ビート。4分音符なら4ビートと考えましょう。
まとめ
まとめ
・音楽には拍と拍子がある。
・拍子は○分音符が何個で1小節となるか。
・それらは楽器のリズムではなく、手拍子やメトロノームで考える。
・「(聞こえていなくても)常に感じる事のできる一定の間隔をもったリズム」の事。
・拍には隠れた裏拍があり、表拍と裏拍を意識する事が重要。
・8ビート16ビートはどの音符でリズムを刻んでいるか。