メロディとコード
今まで学んだ音楽理論で、作曲の土台であるコードとメロディは簡単に作れるようになっています。そして既存曲のメロディを聴けば、KEYが何か、コードは何かをある程度予想し、耳コピが出来るようにもっています。
音階をコピーしてみましょう
今回は実践的な事をやってみましょう。
鼻歌で童謡の「どんぐりころころ」を歌ってみて下さい。それを自分が作った曲だと仮定しましょう。そして「どんぐりころころどんぶりこ」までのメロディをギターや鍵盤などで弾いてみます。まだ原曲は聴かずに、この音かな?この音かな?と試行錯誤して音を探し出してみて下さい。
そうすると、「どんぐりころころ」の最初の「どん」の音は「ソ」という事が分かります。もし間違っていても落ち込まなくて大丈夫です。曲を聴かない場合最初の音がずれている事は何一つ問題ありません。
それより、次の音に注目です。
次の「ぐ」の正解は「ミ」の音です。つまり、ソの半音3つ分下ですね。ここで、例えば「どん」の音が「ファ」だと思っていたのに、「ぐ」は「ミ」と正しい音を見つけていた場合、距離感が間違っているのであまりよろしくありません。
しかし、「ぐ」を「レ」と思っていたなら、半音3つ下でメロディとしては正解です。最初の音が違っていただけで距離感は合っていた訳ですよね。つまり全ての音が全音1つ分間違っていただけ。絶対的ではないけど、相対的にコピー出来た事になります。
要は違うKEYで弾いただけで何の間違いでもありません。だとすれば最初の音だけ聴いて音を探せば、後は曲がなくてもコピー出来ていたという事になります。
もし何を言っているか分からなくても焦らないで下さい。ここから色んな事が一つに繋がります。
では最初の「どん」の音を「ソ」、次の「ぐ」を「ミ」に固定して、もう一度続きをコピーしてみましょう。そうすると、「どんぐりころころどんぶりこ」は「ソミミファミレドソミミレ」という事が分かります。
ここで音階に注目して下さい。ここからが今回のテーマです。
KEYの予想をつけましょう
「ソミミファミレドソミミレ」はよく見ると、ド~ソの音までで白鍵しか使ってない事が分かります。今までの音楽理論を勉強してきたら、なんとなくこの曲のKEY(調)が見えてきませんか?
もしかしたら後に黒鍵が出てくるかもしれませんが、今の段階では全部が白鍵の音階を使う調、つまりハ長調(C)か、イ短調(Am)だと予想がつけれるんです。
という事は続きも、「ドレミファソラシド」の白鍵から音を探せば、かなり早くコピーする事が出来そうです。それ以外も楽譜に起こしてみます。
見事に「ドレミファソラシ」の白鍵のみの音階で構成されていました。
この「調を最初に知る」事は耳コピをする際にも役に立ちますが、メロディ作りや気持ちのいいコードを探す時など、作曲面に置いても有効なんです。
ちなみに既存曲の場合、最後の音に注目する方法もあります。
曲の最後の音は、安定して終わる事が多い為、かなりの確立でその曲のトニック(主音)で終わる事が多いんです。つまりドを主音とした、ドレミファソラシドを使う音階ですね。
ここからも「どんぐりころころ」はハ長調という事が分かります。もちろん例外的に不安定な音で終わるものもあります。ですが、どの音が一番安定する音かを掴めれば、調は判断出来るという事です。
ダイアトニックコードを利用しましょう
では、KEYが分かった所で、次はコードにいってみましょう。
ハ長調のダイアトニックコードは、三和音(トライアド)なら「C、Dm、Em、F、G、Am、Bm(-5)」でした。ⅦのBm(-5)は、使い方が少し難しく、登場頻度は他の6つに比べて圧倒的に低いので、ここでは省いて考えても良いでしょう。
つまりこの6つのコードが「どんぐりころころ」のメロディに合いそうという事が分かります。あとは感覚的になるのですが、歌いながら、もしくは鍵盤でメロディを弾きながら、この6つのコードのどれが合うかを探す作業になります。
自分で「どんぐりころころ」を作ったと考えた場合、正解はありません。このタイミングでこのコード(響き)を入れたいと思えばそれで問題なしです。もちろんダイアトニックコード以外のコードを使ってもOKです。
ただこの6つのコードが違和感なくハマる事は間違いありません。ダイアトニックコードの項でも見た通り、これらは長音階に音を積み重ねて出来たコードですから。
そしてこの6つのコードから更に絞り込む事も出来るんです。それが前に登場したスリーコードと代理コードです。
ⅠーⅣや、ⅠーⅤ、ⅠーⅣーⅤ、ⅤーⅠなど、音楽には定型のコード進行が存在するという話をしました。つまり、このコード進行をあてはめてみると、より早く合うコードを作る事が出来ます。
ちなみに原曲のハ長調「どんぐりころころ」のコードは、以下のようになっています。
C・F・Gのスリーコードで作られています。
C-GーCがⅠーⅤーⅠ
C-FーCはⅠーⅣーⅠ
C-F-G-CはⅠーⅣーⅤーⅠ
と定型のコード進行が見事にハマりますね。
もちろんこれをアレンジして、代理コードに変えてみたり、Gをセブンスに変えてみても、曲の雰囲気は大きく変えずに少し凝った進行を作る事が出来ます。
作曲手順まとめ
作曲をする際、作り方は人それぞれです。コードから作る方法やメロディから作る方法もありますが、ほぼ手順は共通です。
1、まずKEYを決めます。
自分が良いなと思ったコードを主和音にする。(最初はハ長調が分かりやすいかもしれません。)
メロディ先行の場合、そのメロディからなんとなくKEYが浮かびあがります。
2、ダイアトニックコード、定型の進行を使う
ダイアトニックコードや定型の進行を駆使し、好みのコード進行を作る。もちろん他のコードでもOKです。
メロディ先行の場合、合うコードを探す
3、KEYの音階を中心にメロディを作る
キーの音階でメロディを作っていきましょう。
メロディ先行の場合、コードにもっと拘ってもよいでしょう。
このような手順で曲の基盤のコードとメロディが出来上がります。慣れてくるとメロディが浮かんだ段階で、同時にコードも聴こえるようになり(イメージできるように)、1,2,3を同時にやる事もよくあります。
より詳しくは、41.作曲の方法とコツで学習しましょう。